椎間板ヘルニアの原因と治療方法
治療ブログ
どうして膝は痛くなるの? 1
どうして膝は痛くなるの? 1
今回は当院でも、もっとも多い「変形性膝関節症」についてお話したいと思います。
一度は変形性膝関節症という病名を聞いたことがあると思いますし、加齢だから…とあきらめている方も多いかと思います。正しい知識を知って正しい対処をすれば日常生活動作の痛みが改善される場合も多いのでまだあきらめずに対処していきましょう。
膝は太ももの骨の大腿骨と、すねの骨の脛骨そしてお皿の骨の膝蓋骨という骨で構成されています。太ももの大腿骨とすねの脛骨との間には、関節軟骨という軟骨があり、正常の膝関節では関節の表面はこの軟骨で覆われています。弾力性に富んだ組織からなる軟骨は、衝撃を和らげたり、関節の動きを滑らかにしたりしています。 また、滑膜から分泌される関節液は軟骨の成分の1つであるヒアルロン酸を含んだ粘りのある液体で、膝関節がスムースに動く潤滑油と軟骨の栄養の役割を果たしています。変形性膝関節症とは、膝関節のクッションである軟骨のすり減りや筋力の低下、加齢、肥満、スポーツによる外傷などが要因となって、膝の関節に炎症が起きたり、関節が変形したりして痛みが生じる病気です。中高年の方に多い病気ですが、とりわけ女性に多く、50歳以降になるにつれて患者さんの数が増えていきます。
膝関節のクッションの役目を果たす膝軟骨や半月板が長期間に少しずつすり減り変形することで起こるもの(一次性)と、関節リウマチや膝のケガなどの他の原因によって引き起こされるもの(二次性)の2種類があります。
初期の変形性膝関節症では、朝起きて歩き始めた時の「膝の違和感」が最も早く現れる症状です。この段階では、膝に力がかかる動作で痛みがでることもありますが、この痛みは長続きせず、しばらく休むと痛みがなくなる場合がほとんどです。発病初期は痛みがすぐに治まったり、痛みがあっても年のせいだとあきらめたりして病院を訪れる人が少ないのが現状です。一度発病したら若いころのような 膝に戻すことはできませんが、適切な治療を受ければ症状の進行を遅らせることで、普通に日常生活を送ることができます。なお、症状の進行は人によって様々で、朝の違和感だけがずっと続いて、本格的な変形性膝関節症にならない人もいます。
初期症状を放置しておくと、徐々に進行して症状が悪くなっていきます。まず、痛みがはっきりと自覚できるようになり、膝が完全に曲がりきらない、伸びきらない状態が進み、正座やしゃがみこむ等の動作が苦痛になってきます。階段の上り下りもつらく、特に下りがつらくなります。
また、炎症が起きてくるために、膝の周辺が腫れたり、熱感をともなったり、むくんだりしてきます。さらに、膝に水がたまって膝が張っているような重くだるい感じもでてきます。
この段階では、膝の変形がひどくなり、膝に力のかかる動きをするとコリコリ、ガリガリといった軋轢(あつれき)音が出るような感じを受けるようになります。軟骨の磨耗がある程度すすむと(中期)、膝の曲げ伸ばしや立ち上がり、歩行時の膝にかかる負担の増加および軟骨、半月板の変性による刺激により関節炎が生じます。関節炎では、膝を曲げ伸ばししたときの痛み(動作時痛)や曲げ伸ばしの制限(可動域制限:かどういきせいげん)が生じます。また、関節液が多量に分泌されて関節に「みず」がたまること(関節水腫:かんせつすいしゅ)もありますが、関節内のヒアルロン酸は逆に減少します。進行期の変形性膝関節症では、軟骨の磨耗がさらに進み関節の土台の骨(軟骨下骨:なんこつかこつ)が露出したり骨棘(こつきょく)といった骨そのものの変形が生じたりします。この状態では、膝を動かしたり立って歩いたりするたびに硬い骨同士が直接ぶつかり合うため強い痛みを生じ、曲げ伸ばしの制限も高度となり日常生活において大きな障害となります。
変形性膝関節症は、患者さんが診察室に入ってくるときの歩き方を観察することから診察がはじまります。次いで問診によって痛みの状態、生活状況、けがの履歴などを確認し、さらに視診、触診によって 足の変形、腫れの有無、痛みの場所、膝の曲がり具合など詳細に確認していきます。
以上のような問診、視診や触診に加えて、「X線撮影」や「関節液検査」「MRI検査」等の詳しい検査を実施して、それらの結果をもとに総合的な診断がくだされます。当院ではレントゲン撮影はできませんがその他の徒手検査法(整形外科テスト法)を用いて診断していますのでご安心ください。
血液検査・関節液検査…膝が痛む原因にほかの病気が考えられる場合などに行われます。これにより、関節リウマチなどと鑑別することができます。
MRI検査…磁気を用いて膝の内部を映し出して、コンピューターで画像を作る検査です。レントゲンのように骨だけでなく、軟骨、靭帯、筋肉なども詳しくみることができます
エックス線検査(レントゲン)…膝関節を構成する3つの骨(大腿骨、脛骨、膝蓋骨)の形や変形の程度を観察します。また、関節の隙間の開き具合から軟骨の磨耗の程度も推定します。変形性膝関節症の診断と病期(びょうき:進行の程度)はこのレントゲン検査より判断します。
変形性膝関節症の治療方法には、大きく分けて保存療法と手術療法の2つがあります。保存療法にはリハビリテーション、装具療法、物理療法、薬物療法があり、これらを組み合わせて行われます。手術療法は、保存療法で効果が得られない場合に選択されますが、この数は決して多くはありません。変形性膝関節症は、加齢による関節の変化が主因なので、関節の機能を維持しようとする患者さん自身の気持ちとがんばりもとても大切になってきます。
筋力訓練…膝を支える筋力の回復を目的とした訓練(大腿四頭筋など)
可動域訓練…膝の曲げ伸ばしの回復を目的とした訓練
装具の目的はひざ関節にかかる負担を軽くすることと関節を安定化させることが目的
サポーター、足底版、機能的装具、杖など
関節内注射…ヒアルロン酸(人工的に作った製剤で軟骨の修復や膝の動きを滑らかにする)
ステロイド剤(強い炎症を抑えることが目的で即効性がある反面、感染症やステロイド関節症に注意が必要)
内服薬・坐薬・塗り薬・貼り薬
非ステロイド系消炎鎮痛剤(いわゆる痛み止め、関節炎による痛みを和らげる)
すり減ってしまった関節軟骨は、もとの完全な形に修復されることはありません。したがって、変形性膝関節症の治療は、痛みをとり、膝が完全に曲がりきらない状態や伸びきらない状態を改善して、膝の機能を高めることを目指して行われます。治療方法は、症状の進行度や痛みの程度によって異なります。
当院の施術は筋力の強化、関節機能の訓練はもちろんですがリハビリテーションをする前にもっと大切な身体・関節のズレ(ミスアライメント)を整えた上でリハビリテーションを行います。良い運動療法を行ったとしても関節や体のズレがあると筋力強化をしてもきちんと筋力がつきません。身体・関節のズレを整えた上でリハビリテーションを行い痛みのない生活を取り戻しましょう!!これらの治療でも痛みが一向に緩和されない場合には外科的療法での処置が必要となります。お悩みの方は一度、当院にご相談ください。